日本消費者金融大手7社が08年に過払い金の返還請求に元づいて支払った総額は4683億円。08年の支払い総額から弁護士らが20%の成功報酬を受け取ったとすると、その額は937億円、業界内では「過払いバブル」とも呼ばれている。
ところが「バブル」の陰では、債務整理をしたにも関らず、暮らしを立て直せず、逆に困窮している人が目立ち始めている。支援団体や消費者センターには「12万円のパート月収から、月々46000円の弁護士費用を返済できず、知人や闇金融から借金してしまった」等「債務整理後に家計がなり立つようになった」という人は約30%減ってきている。
弁護士も「まとまった報酬が見込める過払い金の返還がある場合にだけ仕事を引き受けたり、解決に手間がかかる闇金がらみの仕事を避けたりする人もいる」として「法律家による債務整理がビジネス化し多重債務者の生活の再建に結びついていない」という事実も深刻だ。大手の「ホームロイヤーズ」では弁護士20人、スタッフ約200人。扱い年間3万件、売上100億円超の正に中堅企業並みの弁護士事務所もあるから驚きだ。金利の計算をして利益を回収するだけなら債務整理が法律家のみの仕事に限られる必要はないとも言えるが、弁護士法の障壁は厚い。
ともあれ、貧困ビジネスの一例である派遣会社や賃料保証会社問題は、一部の同情すべき事例を除き「現在の自分は過去の自分の結果」という本質を避け、カビが生えた資本家と労働者、搾取と被搾取の階級対立や企業側の雇用差別や賃金差別を論じている事が多い。一私企業の責任と社会的セーフティーネットの問題を混同している。言うまでもなく民主的社会は他人を害しない範囲の自由な意思決定と判断能力を持った「大人」がいるので、自己責任を前提にしている。今回のような「貧困ビジネス」に表徴される、滞納保証会社は、「判決が遅い、入れたら出せない」という「借地借家法等」の不備による「債権者の正義の実現」という需要があるから鬼子のように出現したものだ。以前「借りた金は返すな」をベストセラーにしたマスコミの道義上の責任は不問にすべきではないし、その風潮に同調した我々も真摯に受け止めなくてはならない。
今回は「敷金0、礼金0」のいわゆるゼロ・ゼロ物件の入居者に対する、「非人道的な」滞納催促の仕方が問題となった。数年前にあった「商工ファンド」の賃貸版である。そこでは「返せないなら腎臓を売れ」が非人権的で非道徳的だと、あらゆるメディアで糾弾され法改正に結びついた。ビジネスチャンスとばかり一部旧サラ金系や商工ファンドのような企業金融からの参入もあったからかもしれない。報道等では、『家賃の支払いが数日遅れただけで部屋の鍵を交換された』「入居中に14回も鍵を交換され、就寝中に管理会社の社員が部屋に入ってきて、大きなショックを受けた」「社員が5人も来て夜中の3時まで支払いの催促をされた」等である。報道からは借主のそれまで支払いの対応は全く書かれていないが、経験知から言えば「居留守、連絡無視」等、滞納者側にも問題は多いはずだし、その原因を作った責任は不問にされている。弊社も加盟している「財団法人 日本賃貸住宅管理協会」も事態を重視し、会員会社から実態調査をした。それを受けて「国土交通省は、敷金・礼金なしで入居できる賃貸住宅「ゼロ・ゼロ物件」に関する規制を強化する方針を固めている。
そもそも、『ゼロ・ゼロ物件』とは、入居時の一時金が全く不要か、それに近くても入居できる物件で、定職がなく、定収入も保証されず、保証人がいなくても入居できる物件である。その結果「家賃の支払いがない」入居者が多いという物件でもある。当社でも長期空室物件について空室対策の一環として全店で検討したことがあるが、滞納リスクと入居者の質が落ちる為、断念した経緯がある。勿論例外はあるだろうが、当社の例では「破産者、常習滞納者で強制退去された方、定期的な収入がない方、預金も殆どない方で、通常来店される「礼金、敷金」を用意できる入居者層とは全く違う層と判明した。
入居審査のハードルを下げるなら安易にアウトソースするのではなく、それなりのリスクも織り込む必要があるし、単なる空室対策では自ら首を絞める事になる。
2009年05月12日
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